── 今回、台湾で開催される「野人祭 Savage Festival」に参加することになったきっかけは何ですか?今回の台北公演では、どんなことを楽しみにしていますか?
YonYon:日本のアジアの玄関口、福岡県で開催されたコライトセッション企画「BEYONDERS」にて蓬萊仙山と PEAVIS が楽曲〈Higher〉を共作、リリースしたことがきっかけで、今回の台湾ツアーが決まりました。台湾で公式でライブをするのは 10 年ぶりで、久しぶりに戻ってこれて本当に嬉しいです。
PEAVIS:僕は初めて台湾に行くので、台北の音楽やカルチャーを直接肌で感じられる機会ができて、すごく楽しみです。
── お二人とも福岡を拠点に活動されていますが、この街の雰囲気やカルチャーは音楽制作にどのような影響を与えていますか?
YonYon:私は韓国ソウル出身で、幼い頃から東京で育ちました。DJ として日本中の街をツアーしている中で、福岡の街の雰囲気や人の温かさに魅了されて移住しました。福岡では音楽やアートのイベントが多く存在します。福岡も都会ですが、東京より住みやすいので、制作に集中できる環境が整っています。
PEAVIS:僕は地元が福岡ですが、東京よりも雰囲気がゆっくりしているので、独自の音楽やカルチャーが盛んです。福岡県がある九州(島)は台湾と同じ面積なので、コミュニティの距離感が台北と似ているかもしれません。
── YonYon、あなたには Peace Tree というレーベルがありますよね。立ち上げた時のきっかけは何でしたか?最初に思い描いていた Peace Tree はどんな形でしたか?
YonYon:Peace Tree は福岡に移住したタイミングで 2021 年に立ち上げました。福岡県がアジアの玄関口と呼ばれていることにインスパイアされ、音楽を通じて平和の枝を伸ばして行くことをコンセプトに活動しています。私たちの音楽やプロジェクトを通じて、日本や韓国、アジアのカルチャーを伝えるきっかけになりたいと思っています。
── お二人の作品には、異なる言語や音楽スタイル、文化背景が頻繁に取り入れられています。こうしたクロスカルチャーな表現には、どんな思いが込められていますか?
YonYon:私は韓国出身で日本育ちである自分のバックグラウンドを大事にしたいと思っています。両国を行き来しながら感じたことにインスパイアされ、活動当初から音楽を通して国境を超えて繋いでいくというコンセプトを掲げています。日本語と韓国語と英語の3ヶ国語で作詞をしているのは、より現地のリスナーにメッセージを届けることができると信じているからです。
── 福岡は文化の交差点とも言われますが、台北も似たような多文化の雰囲気がありますよね。この二つの街の共通点について、どう感じますか?
PEAVIS:福岡は台北のように、いろんなカルチャーの距離感が近いんです。僕は 14 歳の頃からラップをはじめて、福岡の街で最年少ラッパーとしていろんな先輩たちに可愛がってもらいました。音楽シーンだけでなく、グラフィティアーティストのコミュニティなどからも多くの影響を受けました。
YonYon:福岡は地方都市ですが、なんでも揃っていて、東京のファッションブランドも出店しているし、オシャレなカフェもたくさんあります。アートギャラリー兼カフェのようなスペースも多くて、全国各地のアーティストがここで POP UP を開催することも多いです。そういう場所が多いことで、福岡全体がひとつの大きなカルチャーコミュニティのようになっていると感じます。台北にも同じような活気があるのではないかと思います。
── 台湾に来てみて、台湾の音楽シーンについて何か印象的なことはありましたか?台北で感じた音楽的なエネルギーについて教えてください。
YonYon:以前から台湾と日本の音楽シーンには交流がありましたが、最近は互いの都市を巡回しているアーティストが増えているように感じます。台北に来て驚いたのは、日本語を話せる人が本当に多いこと。ある学生と話した時、「ワーキングホリデーで日本のレーベルで働きたい」と言っていました。もしかすると、彼らが今後、台湾と日本の音楽シーンを繋ぐ架け橋になるかもしれませんね。
── 今後、台湾のアーティストとコラボレーションする機会があれば、どんなプロジェクトを考えていますか?台日韓の三国間コラボについても、何かアイデアがありますか?
YonYon:今回、PEAVIS が蓬萊仙山とのコラボ楽曲〈Higher〉をリリースしましたが、私も水面下で進めているプロジェクトがいくつかあります。以前行った「The Link」という企画では、日本と韓国のアーティストと私の3組で楽曲を制作し、両国でリリースイベントを行いました。いつか台湾でも「The Link」を展開していきたいです。
── PEAVIS さんは「Peace & Unity」をテーマに創作活動をしていますが、具体的には音楽や日常生活でどのように実践しているのでしょうか?
PEAVIS:僕が子供の頃は日本は経済的に豊かで住みやすい国でしたが、大人になる頃には生活が厳しくなりました。
日本は若い世代の死因1位が自殺で、未来に希望が持てない人が多いです。僕の友人もその一人でした。
僕は福岡のストリートでそうした現実を目の当たりにしてきました。だからこそ、音楽を通して「平和」のメッセージを届けたいと思っています。
── YonYon さんは DJ、プロデューサー、キュレーターなど、多岐にわたる活動をされていますが、どの役割が最も楽しんでいますか?それぞれの役割は、どのように影響し合っていますか?
YonYon:どれも私にとっては大切な役割で、全ては「愛と平和」を伝えるための手段です。音楽は人々の心を繋ぎ、豊かにしてくれる力があります。私は誰かの心に寄り添い、長く残る作品を作りたいですね。
── 最近、注目しているアーティストや、よく聴いている音楽があれば教えてください。日本、韓国、台湾のアーティストなど、ぜひシェアしてください。
YonYon:最近は Instagram の Reels で新しいアーティストを見つけることが多いです。特に韓国の g0nny(ゴニ)の曲をよく聴いています。彼女の歌声と包容力のある歌詞に癒されています。
── 最後に、台湾のリスナーに向けてメッセージをお願いします。今回の公演で伝えたいことがあれば、ぜひ教えてください。
YonYon:また台北でライブができることを本当に楽しみにしています。蓬萊仙山との特別なコラボセッションもぜひ楽しみにしていてください!
PEAVIS:台湾の皆さん、ありがとうございます。蓬萊仙山との楽曲〈Higher〉もぜひ聴いてくださいね。福岡にも遊びに来てください!